美術品は神聖なものであり、その美術品を展示する建築物もその空間も含めて神聖なものである。
古くから神聖な建築物は対称形が多い。
例えば、神殿、神社、仏閣である。
対称は平等や安定につながり、一見、画一的と思われるが、実は利用者に負担となる難解、
困難などを与える事なく、自由な発想や精神的な豊かさをもたらす。
これは、文化に通じるのである。
建築物は利用者に精神的な豊かさをもたらしてこそ良い建築物であり、
建築が文化のひとつである所以である。
遠い昔、私たちは建設地であるこの地(京都・奈良)において、
はるかかなたの美術や文化を長敬の心で受け入れ、現在世界に誇れる日本文化として育んできた。
今、時を経て新たに偉大なクリスタルガラス工芸家ルイ・ルルーの作品を我々はこの地に迎え入れる事となり、
その器(即ち現代の正倉院)は日本的美意識を基に表現された現代の神殿であるべきだと確信する。
内部空間は、偉大な美術品を抱擁するとともに、その作品に打ち込められた芸術家の魂を、
鑑賞する人々に感銘と共に伝える事が使命である。
ルイ・ルルーの作品はすばらしい曲面と色彩の融合体であることから、
展示空間には一切の曲線を用いず、厳選された素材を用いることにより可能な限り色彩を廃している。
その展示空間は、一切の妥協は許されない研ぎ澄まされた空間である必然性が求められる。
また、収蔵される作品に勝るとも劣らない精神で設計された空間であってこそ、
作品と建築空間の高次元での融合が可能になる。
そしてこの融合こそが芸術家の魂が解き放たれる空間であり、鑑賞者が雑念なしに鑑賞できる空間である。
施主、設計、工事は一貫して精神的豊かさと共に建物を完成させた事は信じて疑わないが、
ここに利用して頂く方々が加わり、建築物は成長していく。
精神的な豊かさを人々にもたらし文化の発展に貢献し、歴史と共にある建築物であって欲しい。
有限会社原田デザイン
代表 原田 敏隆
|