
19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパを中心に開花したアール・ヌーヴォーは、花や植物などの有機的なモチーフや流麗な曲線の組み合わせによる装飾様式で、建築、家具、絵画、デザイン、工芸品など多岐に亘り実践され、人々は熱狂的にその美に酔いしれたのであった。
しかし、その豊かな装飾性と個性的な造形は、第一次世界大戦を境に装飾を否定する低コストなモダンデザインが普及するようになり、量産可能なアール・デコへ移行し、半世紀に満たない期間で姿を消すことになってしまった。それから100年、私たちが経験しているこの21世紀の今もまさに、過剰な低コストにこだわった方向に美意識が曲げられているように思えてなりません。
19世紀末に開花したアール・ヌーヴォーの光輝は、建築では、1893年にヴィクトール・オルタがベルギー・ブリュッセルに建設したタッセル邸がアール・ヌーヴォー様式の最初の建築物であると見なされている。また、世界遺産に指定されているブリュッセルのアール・ヌーヴォー建築群は、ベルギーがアール・ヌーヴォーの実践の地であったことを物語っている。
また、ガラス工芸においても当時、アール・ヌーヴォーの作家たちがナンシー派をはじめ多く存在し、フランスは元より、ルイ・ルルーの出身であるベルギーのヴァル・サン・ランベールガラス製作所にて数多くのアール・ヌーヴォーガラス作品が生まれました。
それから世紀を越えて、現代のクリスタルガラス作家ルイ・ルルー(ベルギー)には、生まれた環境や手法、技術など装飾的なアール・ヌーヴォーの血が脈々と流れている。そして、そのアール・ヌーヴォーをさらに進化させた作品が生み出されているのである。
私がコレクションしたアール・ヌーヴォー作家、エミール・ガレ、ドーム、などのガラス工芸そして、アルフォンス・ミュシャの装飾版画と現代のクリスタルガラス作家ルイ・ルルーの作品からアール・ヌーヴォーの本質を感じて頂ければ幸いです。
ルイ・ルルー美術館 アートディレクター 大谷 史朗
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